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帰郷移住変わる男鹿半島 それぞれの生き方をビジネスに

(雪国TODAY2018年7.8月号/全文5130文字/写真16枚)

コントラバスの調べが秋田県男鹿半島五里合の田んぼを包んだ。夕刻、男鹿真山の麓に近いなまはげの里の農家民宿の主人は宿泊客の準備に追われていた。
なまはげライン沿いの農道にあるブルーベリー農園。オーナー家族が一日の仕事を終え、併設したカフェでくつろいでいる。坂の途中のあじさい寺の見頃とともに初夏の半島が輝き出した。(敬称略)

コントラバスの調べが男鹿半島五里合の里山の田んぼを包んだ

 

北浦の海を見下ろす坂道の途中にある「あじさい寺 雲昌寺」の1200株のアジサイが見頃を迎えた。

県内各地で地域住民と県外からの訪問者との交流が深まっている。人と人とのつながりを支援するソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が地域を変えていく新しい力に。

男鹿市役所5階の地域おこし協力隊の一室で大谷心(24)はナマハゲの面の制作に励んでいた。兵庫県出身。秋田公立美術大学を卒業すると同時に秋田県が推進する地域おこし事業に身を投じた。
「大学で美術を学んだ。初めて男鹿を訪れたとき、ナマハゲの圧倒的な芸術性、存在感に衝撃を受けた。こんな民俗芸術を育んだ男鹿市に住みながら地域活動をしたいと思った」。

地域おこし協力隊の一室で大谷心

なまはげの面を被ってみせてくれた同じ協力隊の伊藤春樹(26)は能代市出身。秋田大学を卒業後に協力隊に参加した。2人はともに任期は3年。全国各地から男鹿への定住を考えている人たちの相談にのり、情報を発信する。「移住を望む人には、まずは現地に来てもらう。協力隊員も移住者なので男鹿を客観的に見ることができる。一緒に半島を歩き、良い点も悪い点も包み隠さず話す」と伊藤。

2018年4月1日現在、秋田県内では1県10市5町2村の自治体で57人が地域おこし協力隊員として活動中だ。国から生活費などの支援を受けながら、おおむね1年以上3年以下の期間、地域に移り住んで住民の生活支援や地域の活性化などに取り組んでいる。

隊員は地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR活動で地域おこしを支援し、農林水産業への従事、住⺠の生活支援などの活動を行いながら地域への定住・定着を図る取り組みを行っている。

2017年2月、総務省は同隊を受け入れた自治体が863と前年の1.3倍以上となり、隊員数が16年に政府が目標としていた4000人を上回ったと発表した。その後も各地で協力隊員の増加が続く。

北浦の海を見下ろす坂道の途中にある雲昌寺。アジサイが咲き誇る

 

東京・不忍池を渡る風に乗ってコントラバスの調べが上野の森に流れ、散策する人たちが耳を澄ました。

この日、上野のビルの一室でキッチハイクの食事会が開かれた。男鹿市五里合琴川の里山の集落で自家焙煎コーヒー豆の販売とカフェ珈音(かのん)を営む店主はコーヒー豆とコントラバスを持参して食事会に参加した。

参加者は家族連れを含め15人ほど。SNSでつながった全国各地の人たちが集まった。「きょうは、みんなで食べよう」をコンセプトに料理を作る人(COOK) と食べる人(HIKER)が普通のレストランでは体験できない各地の郷土料理などを味わった。

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