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田沢湖畔のホテル 50年の時を経て 夕暮れ 静寂に包まれダイニングホールに明かりが灯った

(雪国TODAY2018年6月号/全文790文字/写真5枚)

田沢湖ローズパークホテルに明かりが灯り、静寂が旅情を誘う

夕暮れの湖畔のホテルに明かりが灯った。ホテルは半世紀前に秋田県が田沢湖西エリアの観光拠点、賓客を迎える施設として贅を尽くして建設。その役割を終えたホテルの経営は民間にゆだねられ、現在は岩手の企業が田沢湖の観光を支えている。

 

ダイニングホールをサックスの音色が包んでいる。ボーカルのエリカがジャズのスタンダードナンバーを次々と歌い継いでいった。ピアノの佐竹彩との呼吸も良い。ジャズナイトは訪れた人たちを魅了した。

 

ホテルは1968年(昭和43年)にレークサイドホテル田沢湖として竣工。第3セクターが経営にあたった。この年、田沢湖のシンボル「たつこ像」もホテル隣の浮木神社正面の湖の中に完成。湖東エリアには県民の森も造成された。1984年、県は国土計画(後のコクド)にホテルを譲渡。田沢湖プリンスホテルと名を改める。


 が、観光開発トップ企業のコクドはバブル崩壊にのみ込まれて経営が悪化。2007年にホテルは都内の観光会社に経営が移り、田沢湖ホテル エル・ミラドールとして営業。その後、2012年に岩手県のみちのくジャパンがホテルを買収し、田沢湖ローズパークホテルに名称を変えた。


季節は春から初夏へ。支配人の髙橋直義が6月30日開催のピアノコンサートに向けて準備を急いでいた。

「ホテルが育てる350種1500株のバラが見頃を迎えます。これに合わせて今月30日にクラシックコンサートを予定しているんです。当日、月夜になれば湖面に映し出されるムーンロードをご覧になれるはず。田沢湖の自然をホテルライフとともに味わってほしい」

バラ栽培の柏谷巧さん

喫茶担当の鬼川瑞恵さん


髙橋は角館白岩の出身。バラ栽培責任者の柏谷巧は大仙市千畑。2人は共にコクド社員として観光業のノウハウを学んだ。最初の赴任地が田沢湖プリンスホテル。

「ホテルも自分たちも紆余曲折を経た。このホテルで再び働くとは思ってもいなかった」 (敬称略)