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M9地震後 例外なく大噴火 秋田の名山 噴火は大丈夫? 焼山 駒ヶ岳 鳥海山が警戒レベル1

(雪国TODAY2018年6月号/全文6270文字/写真12枚)

火山がいつ噴火するのか誰にもわからない。ハワイ島キラウエア火山で大規模な噴火活動が続いている。

秋田市手形の秋田大学キャンパス。国際資源学部3階の研究室でフィリピンの火山調査から帰国したばかりの水蒸気噴火の権威、大場司教授が世界各国の研究者からのメールの確認に追われていた。

一方、教育文化学部の火山地質学者、林信太郎教授は噴火による防災対策、現地調査などで国内各地を飛び回っていた。

世界中で活発化する火山活動。県内の名山が山開きした。秋田の火山は大丈夫か。

登山シーズンを迎えた鳥海山。にぎわい出した由利原高原

 

秋田駒ヶ岳火山防災協議会コアグループが白熱の議論を繰り広げていた。

 

「冒頭の気象台防災部からの状況説明を聴いていると、秋田駒の火山活動は小康状態のような印象を受ける。私はそうは考えていない」

岩手大学の齋藤徳実名誉教授の発言で会議は一気に緊迫した。

 

仙台管区気象台地域火山監視・警報センターは今年4月3日に発生した秋田駒の火山性微動、直後と24日の低周波地震で上空からの観測を二日間にわたって実施。

女岳と男女岳の火山活動の推移を注視した。この際に女岳周辺の噴気を確認している。

 

昨年9月14日、秋田駒登山バスの起点となるアルパこまくさのバス停留所は初秋の登山を楽しんだ人たちでにぎわっていた。この日正午まで24時間で129回の火山性地震が発生。

仙北市は張り紙で火山情報を登山者に伝えている。半年後、秋田駒が再び活動を開始したことになる。

仙北市で開かれた火山防災協議会

議論途中に追加で配られた林教授の「秋田駒噴火レベル1での噴火を想定した防災対応計画策定について」は、噴火は小規模水蒸気噴火とし、想定火口を女岳、小岳、南部カルデラ内とした上で北西山麓の片倉沢源流近くの硫

黄鉱山跡が噴火の可能性があると指摘した。

 

硫黄鉱山跡は駒ヶ岳登山の人気コース8合目避難小屋からの登山道沿い。多く登山者が集中する。

 

過去世界各地でM9.0以上の地震を観測した地域では例外なく付近の火山が数年以内に大噴火を起こしている。過去2千年で日本史上で最大規模の噴火とみられる十和田火山大噴火の懸念が深まってきた。

火山活動が続く秋田駒。写真左手前が警戒が必要な硫黄鉱山跡

915年に大規模な噴火が発生した十和田火山については、京都延歴寺の僧侶皇円が編さんした歴史書「扶桑略記」に記述がある。

「京都では輝きがなく月のような朝日が見られた。その8日後に出羽の国から灰が降って二寸積もった。桑の葉が各地で枯れた」

大噴火から約1100年。2014年1月27日に、十和田湖周辺でたった1日で800回もの地震が観測された。

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田沢湖畔のホテル 50年の時を経て 夕暮れ 静寂に包まれダイニングホールに明かりが灯った

(雪国TODAY2018年6月号/全文790文字/写真5枚)

田沢湖ローズパークホテルに明かりが灯り、静寂が旅情を誘う

夕暮れの湖畔のホテルに明かりが灯った。ホテルは半世紀前に秋田県が田沢湖西エリアの観光拠点、賓客を迎える施設として贅を尽くして建設。その役割を終えたホテルの経営は民間にゆだねられ、現在は岩手の企業が田沢湖の観光を支えている。

 

ダイニングホールをサックスの音色が包んでいる。ボーカルのエリカがジャズのスタンダードナンバーを次々と歌い継いでいった。ピアノの佐竹彩との呼吸も良い。ジャズナイトは訪れた人たちを魅了した。

 

ホテルは1968年(昭和43年)にレークサイドホテル田沢湖として竣工。第3セクターが経営にあたった。この年、田沢湖のシンボル「たつこ像」もホテル隣の浮木神社正面の湖の中に完成。湖東エリアには県民の森も造成された。1984年、県は国土計画(後のコクド)にホテルを譲渡。田沢湖プリンスホテルと名を改める。


 が、観光開発トップ企業のコクドはバブル崩壊にのみ込まれて経営が悪化。2007年にホテルは都内の観光会社に経営が移り、田沢湖ホテル エル・ミラドールとして営業。その後、2012年に岩手県のみちのくジャパンがホテルを買収し、田沢湖ローズパークホテルに名称を変えた。


季節は春から初夏へ。支配人の髙橋直義が6月30日開催のピアノコンサートに向けて準備を急いでいた。

「ホテルが育てる350種1500株のバラが見頃を迎えます。これに合わせて今月30日にクラシックコンサートを予定しているんです。当日、月夜になれば湖面に映し出されるムーンロードをご覧になれるはず。田沢湖の自然をホテルライフとともに味わってほしい」

バラ栽培の柏谷巧さん

喫茶担当の鬼川瑞恵さん


髙橋は角館白岩の出身。バラ栽培責任者の柏谷巧は大仙市千畑。2人は共にコクド社員として観光業のノウハウを学んだ。最初の赴任地が田沢湖プリンスホテル。

「ホテルも自分たちも紆余曲折を経た。このホテルで再び働くとは思ってもいなかった」 (敬称略)