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ハタハタの海 変調が鮮明 冷水塊が原因か ホッケ磯釣り 好調いつまで

(雪国TODAY2018年5月号/全文1450文字/写真8枚)

午前8時半に秋田県船川港を出航した調査船・千秋丸の海水計測、資源調査が北浦沖合で佳境を迎えていた。同時刻、男鹿半島西海岸の潮瀬崎・岩場。例年は漁期が終了しているはずのホッケを狙う釣り人が目立つ。

 

その潮瀬崎に近い双六漁港の船主が浮かぬ顔。双六から門前方向に2㌔の小浜の船溜まり。「きょうの漁はさっぱり駄目。潮が読めない」と漁師。秋田県沖の“ハタハタの海”の変調が鮮明になってきた。(敬称略)

 

秋田県沖合“ハタハタの海”の変調が鮮明に(潟上市の出戸浜海水浴場)


潮瀬崎の岩場。「ホッケの磯釣りは例年だと4月上旬で終了。でも今年は違う。きょうもクーラーボックスがホッケでいっぱい。2月からずっとこんな調子。ホッケの魚群が濃い」と秋田市から来た釣り人。

 

県ハタハタ資源対策協議会(遠藤実座長)が今季のハタハタ漁を総括した。2017 年漁期(17 年9月~ 18 年6月)の漁獲量が2月末現在で、478㌧と漁獲枠(720㌧)の66%にとどまっていると報告した。

千秋丸のデータ収集(写真は秋田県水産振興センター提供)

20 年ぶりの低水準。推計資源量の4割としてきた漁獲枠について、3割まで引き下げるなど新たな資源管理対策が必要とした。「ハタハタは大きな収入源。休漁しろということか」と漁業者からため息が出た。

漁業者の困惑が深まっている。

 

変調が鮮明になった“ハタハタの海”。秋田沿岸の海の塩分、水温、潮流のデータ収集、分析を担当するセンター資源部の研究員・福田姫子は海水温の変化を注視していた。

 

昨年来のホッケの好調な磯釣りに、福田は「ホッケは冷たい水温を好む。データからも数年にわたって海水温の低下傾向が続いていることが分かっている。ホッケ爆釣と重なる」と話し、「ただ、この100年でみると、秋田の海は水温が1.96 度も上昇している。これは世界の海の中でも際立った上昇」と推測した。

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秋田市大森山動物園 みんな地球で生きている 飼育スタッフからのメッセージ

(雪国TODAY2018年5月号/全文6500文字/44枚)

絶滅危惧種アムールトラが大きなあくびをした。家族連れも動物たちもの〜んびり。ゴールデンウイーク中の秋田市の大森山動物園の昼下がり。飼育、繁殖技術の向上で新しい命の誕生が続く。飼育スタッフから愛情あふれるメッセージが届いた。あなたは絶滅の危機にある野生動物のことを考えたことがありますか? (敬称略)

地球環境の悪化で「種の保存」が動物園の役割として比重を増している。

2016年1月に国際自然保護連合が公表した最新のレッドリストは、世界の既知種約 175万種のうち 82,845種の絶滅リスクを評価し、およそ3割 にあたる23,892種を絶滅危惧種と判断している。

 

動物と語らう森

園長 小松 守

動物と語らう森」は大森山動物園が掲げてきたテーマです。園内の動物たちは主に哺乳類や鳥類で、魚とはどこか異なる雰囲気を持つ生き物です。単純に魚は水中生活、哺乳類などは人間と同様に空気を吸う生き物という生理的な違いだけではありません。どこか人間と似た感覚や時に同じ感情にも似た何かを持っているのです。大森山動物園を訪れた人たちが動物たちと心を通わせ、そこから動物再発見につなげてほしいと願っています。動物を知り、好きになることは、やがて動物保全、さらには共に生きるものとしての思いやり、優しさにつながっていきます。大森山で動物との語らいを試みてほしいと思う。そんな動物園を目指しています。

【希少動物の飼育】

ニホンイヌワシ 三浦 匡哉

ニホンイヌワシは秋田にも生息する大型の猛禽類です。イヌワシが住んでいるということは多様な自然が残されていることを示しています。しかし、最近、野生のイヌワシは高齢化が進み、繁殖率が低下しているため、トキやコウノトリのように野生からその姿を消してしまうおそれがあります。動物園では野生のイヌワシが絶滅しないよう来園者の皆さんにイヌワシの現状をお知らせするとともに、野生のイヌワシが絶滅の危機に陥ったときに備えて繁殖に取り組み、個体数を維持しています。あまり身近な鳥ではありませんが、その大きくて威厳に満ちた鳥の王者の姿を間近でぜひご覧ください。

ユキヒョウ 佐藤正

今年、旭川市の旭山動物園から仲間入りしました。大森山公園では8年ぶりの飼育展示となります。ユキヒョウの美しい毛皮はヒョウの仲間でも特に希少価値が高いため、1960年代には密猟が相次ぎ、その数は一時1000頭まで減少したとされています。
現在も幻のヒョウと呼ばれ、他の大型ネコ類と同様に絶滅危惧種に指定され、保護の対象となっています。今回大森山動物園に仲間入りしたのはリヒト(オス)です。ぜひ、ユキヒョウに会いに来てください。

アフリカゾウ 山上昇

秋田市制100周年事業により1990年9月30日に初めて2頭のゾウ(当時推定1歳)が大森山動物園に仲間入りし、一般公募によりオスはだいすけ、メスは花子と名付けられました。ゾウは象牙目的の乱獲や密漁により生息数が激減し、現在は絶滅危惧種になっています。当園では、今年度、繁殖を目的にメスの花子を他の動物園のメスのゾウと一時的に交換する計画があります。動物は、環境が変わることで繁殖につながるケースもあり、当園でも国内の動物園と協力し合って、繁殖を成功させたい一心で挑戦するものです。ただ、メスを交換すれば必ず繁殖するとは限らず、繁殖にはさまざまな要素が必要です。「花子の子どもを見たい、母になってほしい」。担当スタッフは赤ちゃん誕生を心待ちにしています。


チンパンジー 松井健

5頭のチンパンジーがいます。チンパンジーは一見、人懐こくってかわいらしく見えますが、実は気性が荒く、相性が合わなければ、同居させることが難しい動物です。現在も5頭のチンパンジーを一つの群れとして同居させていません。新しい群れを作るために、オスのコタロウ(12歳)とJ太郎(12歳)の同居訓練をしています。トラブルもなく順調です。また、メスのルイ(7歳)との同居も考えており、3頭が展示場でじゃれ合っている様子を皆さんにお見せできるように頑張っていきたいと思います。

レッサーパンダ 関谷藍子

日本では多くの動物園で見ることができるレッサーパンダですが、絶滅が心配される「絶滅危惧種」に指定されています。遺伝子の偏りを防ぎ、レッサーパンダを保全するために、国内の動物園間で個体の移動、交換や積極的な繁殖が行われています。当園生まれのケンタも今年3月、群馬サファリーパークに婿入りしました。また、ケンタの親のケンシンとゆりは、3回の繁殖行動が確認されました。もし妊娠していれば初夏には赤ちゃんが生まれる予定です。その際には、ぜひ会いに来てください。

ニホンザル 山本明子

ニホンザルは、ヒトを除いた霊長類の中で最も北に生息していす。積雪地帯で生活するサルは世界的に非常に珍しく、「snow monkey」と呼ばれ世界中で人気があります。

当園のサル山には赤ちゃんからおとなまで89頭のニホンザルが生活しています。かなり大所帯なので一度に観察できる行動も様々です。赤ちゃんを抱いてあやしている個体もいますし、こども同士で遊んでいたり、毛繕いをし合っていたり…。出産シーズンは5月なので、さらに頭数が増えてにぎやかになるかもしれません。1カップ100円で餌を販売しています。じっくりと観察してみてください。


アカカンガルー 藤原直樹

大森山動物園では4月現在、14頭のアカカンガルーを飼育しています。来園者がより身近でカンガルーの鼻息を感じることができるよう、展示場内に「カンガルーアイランド」を整備しています。今年度はさらにカンガルーの生態がわかるようにアイランドの周辺に大好きな枝葉を備え付ける場所を設け、エサの食べ方や前足の使い方、尻尾の役目などを観察できるよう工夫しています。カンガルーの体調不良や悪天候、大雨による展示場の冠水などでアイランドが閉鎖する場合がございますがその際はご容赦ください。14頭のカンガルーが尻尾を長〜くしてお待ちしています。

ニホンイヌワシ

ユキヒョウ

アフリカゾウ


チンパンジー

ニホンザル

アカカンガルー


ラクダ 國井博

フタコブラクダの来来(ライライ)は体重が約500㌔以上もあるので、園内をお散歩する際は安全に配慮し、5人の飼育員が共同で行っています。散歩コースはラクダ舎から猛獣がいる王者の森までを往復します。ラクダの足裏はとてもプニュプニュしてクッション性があり、どんな地面にも対応できるようになっています。地面をしっかり踏んで歩いて行きます。ただ、濡れている路面や強風など普段と違う状況は苦手です。来来の頑張って歩く姿を見に来てね。

インドクジャク 西方理

クジャク展示場ではインドクジャクのオス4羽、メス3羽を飼育しています。冬期間は鳥インフルエンザの予防のため狭い越冬舎で過ごしていましたが、現在は外の展示場で過ごしています。クジャクといえばあのきれいな飾り羽を開いた姿が印象的ですが、あの姿が見られるのはちょうど春の今頃だけです。また、今年の夏頃から新しい越冬舎を利用してクジャクの餌やり体験を実施します。自然にクジャクが越冬舎までエサを食べに来るよう、これから慣らしていく予定です。

カピバラ 小川裕子

春からカピバラの餌やり体験を実施しています。餌の笹は1本100円でフェンス越しにカピバラに食べさせることができます。カピバラたちは勢いよく笹を食べるので、笹を取られないようにしっかり持ってください。口の周りが笹の葉で緑色になり、かわいいですよ。カピバラには鋭い前歯がありますので、フェンスの中に手を入れないように気をつけてね。
また、すっかり人気となった「カピバラの湯っこ」も午前中に実施しています。冬期に足の治療で個別飼育していた「ぐら」も群れに復帰し、よく湯っこ(お風呂)に浸かり皆さまをお待ちしています。

シバヤギ 新林歩

現在、大森山動物園では11頭のシバヤギを飼育しています。このヤギたちと触れ合える人気のイベント、「ヤギの餌やり体験」を毎日開催しています。普段はのんびりしているヤギさんたちですが、餌を見ると目の色が変わります。ひときわ体の大きいオスの丞弐(じょうじ)君は食いしん坊のあまり柵から身を乗り出し、お客さまを驚かせてしまうことが多々あります。みんな同じに見えるかもしれませんが、よーく観察すると個性豊かな子がたくさんいます。ぜひ、お気に入りの子を見つけて餌をあげてみてくださいね。


フタコブラクダが園内をお散歩

インドクジャク

カピバラ

シバヤギ


【動物たちのトレーニング】

フンボルトペンギン 三浦真優

フンボルトペンギンを40羽飼育しています。中には人工育雛といって、親ペンギンの代わりに飼育員が親となって育てたペンギンがいます。そのペンギンたちと一緒に外に出てお散歩をしようと思っています。鳥インフルエンザも落ち着いたので、これからお散歩の練習をします。まだいつになるかはわかりませんが、早く皆さんにペンギンたちがぺたぺたと歩くところを見ていただきたいです。ペンギンの食欲満点の〝まんまタイム〞もあります。陸とは違い、水中をかっこよく泳ぐ姿も見ていってください。

カリフォルニアアシカ 千葉可奈子

大森山動物園では、毎日、朝と夕方の2回、アシカのトレーニングを行っています。水族館では、アシカショーで人気者の芸達なアシカですが、パフォーマンスをするためだけにトレーニングをしているわけではありません。アシカは、雌でも体重が100㌔、雄だと300㌔近くなる大きな動物です。この動物たちの健康を管理するためにトレーニングを行っています。毎日、近くで観察し、動作に異常がないかを見極めることが大切です。治療が必要な時には、治療に協力してもらえるように飼育スタッフとアシカとの間で信頼関係を深めています。今後もアシカたちとの良い関係を維持していきます。

アミメキリン 柴田典弘

大森山動物園は2011年以降、飼育している2頭のキリンに対し健康管理を目的としたハズバンダリートレーニングを実施しています。これにより、これまで難しいとされていた無麻酔下で採血や蹄のケアが可能になりました。当園は国内で最高レベルのキリンのトレーニング技術を有しています。お客さまは「飼育員さんだから当たり前のケア」と映っているようですが、採血や削蹄を行っている動物園は国内ではほとんどありません。今後は来園者や一般市民に向け、動物の生態や魅力のみならず、技術的な情報の発信にも力を入れたいです。

フンボルトペンギン

カリフォルニアアシカ

アミメキリン


【動物の魅力】

キョン 牛越利之

入園ゲート近くの建物で生活している小型のシカ「キョン」は体長1㍍弱で、一見すると一般的なシカの赤ちゃんではないかと思うほど小さなシカです。昨年までオス1頭で飼育をしていましたが、今年から新たに若い個体が3頭仲間入りしました。東京都大島町から仲間入りした個体はオス1頭、メス2頭。生態系の保護、農作物被害の防止を目的に捕獲された野生個体です。年齢は1歳程度で、その表情にはまだまだ幼さが残っています。草食動物の成長は早く、愛らしい表情もすぐに野性的で凛々しい表情変わっていくでしょう。3頭のつぶらな瞳から目が離せません。

シフゾウ 鈴木昌典

シフゾウは、シカ、ウシ、ウマ、ロバの四種類の動物に似た特徴を持ちながら、いずれとも異なるために漢字で「四不像」と書きます。日本では大森山動物園以外には数園でしか飼育されていない珍しい動物です。飼育下でのシフゾウの寿命は15年から20年ですが、当園のシフゾウ、メスのサリーは、2000年生まれの18歳とかなり高齢です。そのため、動きは「のそっのそっ」と音が聞こえてきそうなほど遅く、ぽかぽか暖かい日中は展示場で気持ち良さそうに寝ています。動物園では、「行動展示」ということで動物の動いている様子をお客さまに見てもらうことに力を入れています。気持ち良く寝ているサリーを見てまったりと癒やされる時間も動物園の魅力かもしれませんよ。

コツメカワウソ 櫻庭美千代

大森山動物園には2頭のコツメカワウソ( キトラ♂・わらび♀ ) が暮らしています。なんといってもプニプニの前肢、ムニュッとした口元、クネクネと動く姿は魅力的です。ですがカワウソは絶滅危惧種に指定されています。その見た目のかわいさから販売目的の密輸が増えているのです。カワソの動物解説では、普段は見えづらい指先の小さい爪のアップ写真を片手に話し、最後は生きたドジョウやザリガニなどを食べさせます。かわいらしい姿とは違う野性的なカワウソを紹介しています。あなたのカワウソのイメージもきっと変わるはずです。

キョン

シフゾウ

コツメカワウソ


ノドジロオマキザル

【展示の工夫】

ミーアキャット 佐々木祐紀

ミーアキャットは直立して遠くを見ているイメージがあると思います。その仕草がかわいいと動物園でも人気の動物の一つです。直立しているのは辺りを警戒しているため。また、陽に向かってみんなで直立しているときは体を温めているためと言われています。そんなミーアキャットたちの様子をより楽しんでもらうよう、夏休み頃の完成を目指し展示施設のリフォームを考えている最中です。今までは少し遠くに見えていたミーアキャットをより間近に見てもらえるよう、柵や壁などを取り払い、ガラス張りですぐそこに動物がいるように、より動きのある展示を目指しているところです。まずはゴールデンウィーク。大森山動物園へGO !

プレーリードッグ 堀籠麻子

プレーリードッグは北アメリカの大草原で、地下にアリの巣のようなトンネルを作って仲間と暮らす集団性のある動物です。またげっ歯目特有の一生伸び続ける歯を持つため定期的に堅い物をかじり、削ることが必要になってきます。大森山動物園では14頭のプレーリードッグが暮らしていますが、みんな性格がバラバラで好みも違うため砂場、かじり木、タワー、砂風呂、トンネルなどさまざまな物を置いて好みの遊びを選択できるよう工夫しています。一口にプレーリードッグといっても、よく見るとみんな個性的で見ていてまったく飽きがきません。魅力的な彼らに会いに来てください。

ワオキツネザル 斎藤勇

マダガスカル島に生息するワオキツネザル(漢字では輪尾狐猿)が3部屋に29頭います。このサルは、木から木へと3㍍近くジャンプしたり、尾を立てて歩いたり、手足を大きく広げて日光浴で体を温めたりと面白い行動が特徴です。展示で工夫している点は、サルのジャンプが見やすくなるように今まで横に付けていた木を縦に取り付けたり、歩いている姿が見やすいように飾り木の下の枝を取り払いシンプルにしたりしました。またフェンスには足場を取り付け、より近くで自然に座っているように見せています。今後はサルと同じスペースで観察ができ、サルとお客さんが握手をできるような展示ができたらいいなと思っています。

ノドジロオマキザル 舘岡幸枝

10頭のノドジロオマキザルを飼育しています。とても知能が高く、暇な時間が苦手です。野生では最も時間を費やす採餌行動も、動物園ではほとんど必要ありません。そうして生まれる暇な時間を減らすため、餌を取りづらくしてみました。組んだ枝の中に入れたり、少しだけ穴を開けた麻袋に入れてみたり。初めこそ警戒し、時間をかけて取っていたノドジロたちですが、さすがに知能が高く、ものの数十分で完全攻略されてしまいました。さらに難易度を上げたものを設置し、チャレンジするノドジロたちをお見せできればと思います。

ミーアキャット

ワオキツネザル

プレーリードッグ


(動物名だけの写真とラクダのお散歩、アシカのトレーニングの写真は大森山動物園の提供)