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剣道・畑澤実杯四半世紀に 里山の散歩町医者思索のとき 武道の町秋田県五城目町からの報告

(雪国TODAY2018年4月/全文4600文字/写真12枚)

畑澤実範士7段の重厚な正眼の構え。秋田県医師会長の激務をこなし、日々の稽古を欠かさなかった文武両道を貫いた生涯

32都道府県378チームが熱戦を繰り広げた全国高校剣道大会の余韻が残る4月上旬の秋田市。その2週間前、武道の町・秋田県五城目町で県内各地の中学校が参加する剣道大会が行われた。
新年度に向けたライバル校の実力を知る大会として定着している畑澤実杯。剣道発展に尽した一人の開業医を偲んで25年前に始まった大会。だが、人口減少と少子化で大会存続か、廃止かの岐路に立つ。武道の町からの報告。(敬称)
※2019年、有志の強い意向で大会は存続した。

3月中旬の五城目第一中学校の2階道場。卒業式を終えた3人も加わり稽古が行われていた。
「自分たちが抜けたら新3年生4人、新2年生1人になってしまう。新入生の入部に期待したい」。3年生が部員の減少が続く剣道部の今後を案じた。

25回目を迎えた畑澤実杯。県内各地から約200人の中学生剣士が参加

剣道場の隣の柔道場。 部員3人が受け身の稽古を繰り返していた。柔道部は部員数激減で団体戦に出場できない状況になっている。部員激減の背景に町内の長川道場閉鎖がある。少子化に加え、子どもの頃から柔道に親しむ場が失われたことで、柔道部に入部する生徒は減る一方だ。

畑澤実杯の2週間後、町内の弓道場では県北部の選手も参加し、今年初の射会「ふきのとう射会」が行われた。伊達藩御矢師の永澤家からも2人が出場し、弓道を親しむ人たちの1年が始まった。

五城目弓道会・矢場崎倶楽部の戸塚いさ子会長(5段)は「射距離28㍍、直径36㌢の的を射抜いた瞬間の快感が何とも言えない。でも感情を表に出さず淡々と、ね」

弓道も盛んな五城目町。写真手前が御矢師の永澤基、右から3人目は明久。今年初の射会・ふきのとう射会

 

森林組合の木材置き場。職員の畠山徹は帰り支度を急いでいた。剣道4段の腕前。「きょうは剣道教室がある。夕方6時から7時半まで養心館で子どもたちに稽古をつける。道場の名前は剣道家だった医師が命名した。自分も含め彼の愛弟子たちが剣道の町を支えている」

同町の大工の棟梁、田原忠男は年明けに秋田市の太平山三吉神社に居合の演武を奉納している。
「まだまだ、先生の域に達していない。あの重厚な剣さばきを追い求めて四半世紀。道は遠い」。
原田は彼と居合の稽古に明け暮れた日々を懐かしんだ。

弓道会の戸塚会長

田原忠男の奉納演武

剣友会の齋藤喜久也

 

 

 

 

 

 

東京・清瀬市にある薬科大学でドイツ語講座を担当する彼女は、勤務を終えて家路についた。JR武蔵野線国分寺駅でJR中央線に乗り換えた。
「東京は間もなくサクラが咲くというのに秋田は寒いだろうな」。電車内に貼られた秋田の観光ポスターを眺めながら古里・五城目町を思った。父を偲んで始まった大会が今年も行われる。

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