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アムールトラがの〜んびり 魅力いっぱい 大森山動物園

(雪国TODAY2018年4月号/全部1070文字/写真2枚)

「赤ちゃん、生まれるかな?体型ふっくらしてきた」。アムールトラの飼育展示を担当する秋田市・大森山動物園の奥山麻裕子がわずかな体型の変化に気付いた。(敬称略)

7歳オスのヒロシとメスのカサンドラ3歳。2頭の間に、まだ子どもはいない。カサンドラが発情期を迎えた年明けの1月7日から9日間同居させた。最終交尾は1月14日。

アムールトラのカサンドラ。ふっくらとして妊娠の期待も

「アムールトラの妊娠期間は103日間。妊娠したとすれば、そろそろ赤ちゃんが生まれる。でも、トラの出産は本当に難しい。特に初産の場合は…」と奥山。

カサンドラはロシア・ノボシビルスク動物園で2014年5月25日に生まれた。そのロシアで野生のアムールトラの生息数はわずか500頭前後。国際自然保護連(IUCN)はレッドリストで絶滅危惧種に指定している。

かつては人の生活に有害な動物として駆除された。狩猟は禁止になったが、現金収入のために密猟されたり、森の伐採で生息する場所が狭くなったり。
「カサンドラ、おまえの仲間たちは大変だったね」と飼育係の奥山は優しく話しかけた。

アムールトラの飼育を担当する奥山麻裕子さん

奥山が午前8時半のミーティングを終えて、猛獣舎に入るとカサンドラが甘えるよ
うに近付いてきた。2頭は1日1食。カサンドラは馬肉3㌔とブロイラー2羽。ヒロシにはブロイラーをもう1羽追加する。

「昨日は絶食日だった。野生の場合、狩りが失敗に終われば1週間も栄養が取れない状況だって珍しくない。大森山動物園では野生の状況に近づけるために1週間のうち2日は餌を与えない。だから今日はおなかがすいている」

環境・自然保護団体のアムールトラねっとなどは、生息地の森林生態系保全活動の費用として寄付を呼び掛けるなど、アムールトラの命をつなぐ活動を展開している。

データボックス

アムールトラ=野生の生息数は 400 ~ 500 頭で、生息地は 極東ロシアと中国東北部の国境アムール川やその支流のウスリー川流域に広がる針葉樹と広葉樹が混交する森(ウスリー・タイガ)周辺。北朝鮮でも生息を確認。

体重はオス 180 ~ 306㌔、メス100 ~ 167㌔ 。体長はオス 2.7 ~3.3㍍、メス2.4 ~ 2.75㍍。一度の出産で2、3 頭の子どもを生む。生後18 カ月から28 カ月間は母親と暮らす。野生のトラの寿命は8 ~ 10 才。 繁殖と子育ての時期のほかは、1頭で行動し、シカやイノシシなどを捕食。