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森吉山厳冬樹氷原をゆく白銀の世界果てしなく  手つかずの自然、バックカントリースキーヤーを魅了

(雪国TODAY2018年2月号/全文6050文字/写真15枚)

 樹氷の先の稜線が澄んだ青空を切った。そのスカイラインの美しさに言葉を失った。シベリアからの寒気で冬型の気圧配置が続く。つかの間の晴れ間、バックカントリースキーを楽しむツアー。1枚バーンに残したシュプールを目に焼き付けようと振り返った。果てしなく広がる白銀の世界。秋田県森吉山(1454㍍)の樹氷が最も美しいときを迎えた。 (敬称略)

ゴンドラ山頂駅から徒歩5分。「皆さん、ここから樹氷平。1周30分の樹氷観賞コースを楽しみましょう。雪と氷のモンスターが迎えてくれます」。森吉山の樹氷案内協議会のメンバーが呼び掛けた。

早朝、森吉山の樹氷案内協議会スタッフが踏み固めたコースを中国人グループが歓声を上げながら出発した。それに続いて地元の家族連れ、首都圏からの一行も。

快晴の森吉山。ゴンドラ山頂駅を目指す。白銀の世界が果てしなく広がる(写真はガイド大川さん撮影)

森吉山の樹氷群は、標高1100㍍付近から山頂部一帯に広がる アオモリトドマツの原生林が 氷と雪をまとったアイスモンスターだ。 樹氷は氷点下でも凍らない「過冷却水滴」を含んだ強風雲が、 アオモリトドマツの枝に吹き付けた瞬間に凍り付き 、風上に向かってエビのしっぽ状に成長する厳冬期の造形美。

「今日のようなつかの間の晴れ間、アイスモンスターの雪中行軍を見ることができる」と案内人。樹氷を指差し、初めて見る樹氷に驚嘆する人たちに呼び掛けた。「ほら、このモンスターはゴジラにそっくり」

世界的にも樹氷が見られる場所は限られている。日本の樹氷群は極めて希少価値が高い。
国内の樹氷群は、東北では森吉山、蔵王(山形県、宮城県)、八幡平(秋田県、岩手県)、八甲田山(青森県)が有名。西日本では氷ノ山(兵庫県、鳥取県)と伊吹山(滋賀県、岐阜県)が知られている。

樹氷の形成条件は限定的だ。樹氷となる針葉樹のアオモリトドマツの樹海が高山の西側( 日本海側) に広がっていることが絶対条件。日本海から蒸発した水蒸気を上空まで押し上げ、氷点下でも凍らない過冷却水滴を作る山脈があることが必要不可欠。加えて風速10㍍以上の季節風が吹く豪雪地帯が条件。

北海道では季節風が津軽海峡を吹き抜けてしまい、過冷却水滴ができにくいため、樹氷を見ることはできない。日本海側独立峰の森吉山に樹氷ができる好条件が全てそろった。世界、国内トップクラスの森吉山樹氷帯がインターネットで発信され、山スキー愛好家の注目度もトップ級だ。

 

「皆さん、このモンスターを見てください。ほら、エビのしっぽができていく瞬間だよ。過冷却水滴がアオモリトドマツの枝に衝突した瞬間を皆さんは目撃している。アオモリトドマツの小枝が凍り付き、風上に向かってエビのしっぽ状に成長している。よく見て。エビのしっぽが大きくなっていくでしょ。

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