バックナンバー

師走の港町にゴスペル流れて 秋田市土崎港 聖歌隊引っ張りだこ

(雪国TODAY2017年12月号/全文2200文字/写真10枚)

日が暮れて、みぞれ降る街にゴスペルの調べが流れた。あきた光のファンタジーがスタートした秋田市。イベント広場なかいちで行われたイルミネーション点灯式にゴスペルが華やかさを添えている。師走の街によく似合うゴスペルクワイヤ(聖歌隊)は、あちこちのイベントから引っ張りだこだ。港町から広がった秋田のゴスペル。その聖地が土崎グローリアチャペル。(敬称略)

秋田市のイベント広場・なかいちでゴスペルを歌う土崎グローリアチャペルのクワイヤ(聖歌隊)

 

港町に重い雲が垂れ込め、海からの寒風が吹き付けていた。JR土崎駅の正面に立つと左のスポーツクラブの奥に教会の塔が見え、目と鼻の先に港祭りの元締め土崎神明社。夏、町内の路地に響いた港囃子に代わって、初冬の港町にゴスペルが静かに浸透している。

金曜午後7時半。教会に仕事を終えたクワイヤのメンバーが集まり出した。
「仏教徒ですがクワイヤの仲間に入れてもらえますか」。初めて教会を訪れた青年が生真面目に尋ねた。

ソプラノ、アルト、テナーの混声が美しい調べに。土崎グローリアチャペルの聖歌隊

 

「ゴスペルは聖歌だけど、ここでは宗派に関係なく歌いたい人たちが集まっている。どこかおしゃれな感じが良いとメンバーになった人もいるよ」とメンバーの阿部直美は屈託ない。

ゴスペルって何?港祭りのお囃子の名手、若衆のつぶやきが聞こえてきそうだ。

ゴスペル(Gospel) とは、God Spell ↓ Good Spell (良い知らせ)が変化した言葉だと言われ、日本語では、福音(良い知らせ)と訳されている。

17世紀に奴隷としてアメリカ大陸へ連行されたアフリカ人。自由を剥奪された。が、救いを与える福音と出会い、神に彼らの賛美をささげるようになったのがゴスペル
の始まりだと言われている。

賛美歌は礼拝や集会などで歌われる神をたたえる歌。一方、ゴスペル(ミュージック)は、こうした賛美歌とアフリカ特有のリズムや音楽的感性が融合して、現在の基礎が形作られたと言われ
ている。

「私たちがゴスペルと呼んでいる音楽は、アメリカの黒人教会で歌われている歌。誰か一人が歌い出せば、会場全体が総立ちになり、手を叩いたりステップを踏んだりしながら全身全霊で歌う。賛美歌に比べると、より生活に根差した歌詞が多く、聖書をベースにした前向きなメッセージが人種や国境を越えて多くの人たちの共感を呼んでいる」と阿部。

2005年、急逝した本田美奈子。彼女が歌う「アメイジング・グレイス」がゴスペルの存在を印象づけた

「アメイジング・グレイス(Amaging Grace)」は「賛美歌↓ゴスペル」の代表的な曲。2005年11月6日、急性骨髄性白血病のため入院していた歌手の本田美奈子が急逝した。本田の歌う「アメイジング・グレイス」は翌年7月から公共広告機構・ACジャパンの骨髄バンク支援キャンペーンのテレビコマーシャルで1年間放送され、日本中にゴスペルを強く印象づけた。

続きを読む(只今準備中)