2017年05月23日
(雪国TODAY2017年5月号/全文3160文字/写真19枚)
♪何億光年、輝く星にも寿命があると 教えてくれたのはあなたでした〜♪ 旭化成のCMソングとその映像が視聴者の心をつかんでいる。山口百恵のラストソング「さようならの向こう側」。歌は時代を映す。40年の時を経て歌の冒頭が温暖化の地球の行く末を暗示し、それが人の心に響いている。かけがえのない生き物を展示する男鹿水族館GAO。生き物に触れ、半島の大自然を歩きながら地球温暖化を考えるのも良いかもしれない。大型連休を前に飼育スタッフたちの生き物への愛情あふれるコメント。水族館は小宇宙。あなたは何を発見しますか。
今や2万種を超えた絶滅の危機にある野生生物。失われる熱帯の森や珊瑚の海。そして世界中を覆っている大規模な気候変動。秋田県もその例外ではない。身近な所で異常気象による異変が続いている。
今、地球はどうなってるの?自然や資源の破壊は、どれくらい進んでいるの?私たちの未来はどうなるの?
◇青山 晃大(あおやま あきひろ)入社6年目 サンゴ礁コーナー担当
主に熱帯魚のコーナーを担当しています。サンゴ大水槽では主にオーストラリア近海に生息する生物を展示しており、約30種類、300匹が水槽内を泳いでいます。中でもお勧めなのがフィドラーレイ。サカタザメの仲間で大きくなると1㍍を超えます。飼育している水族館は国内では少なく、飼育も難しいですが、いつか大きなフィドラーレイをたくさんの人に見てもらえたらと思っています。一番数が多いのがヨスジフエダイの仲間。50匹が群れをなして泳いでいる様子を見ることができます。青い4本の線が特徴です。他にも人気のカクレクマノミや、国内ではGAOでしか見ることができないとても珍しいイレズミアマダイもいます。また、サンゴも見ていただきたい。サンゴには褐虫藻(かっちゅうそう)という小さな植物の一種が共生している種類があり、光合成で得たエネルギーを供給してもらいながら生きている。
◇河邉 夕貴子(かわべ ゆきこ)入社4年目リクガメ・お出かけ水族館担当
担当企画展示室とお出かけ水族館です。お出かけ水族館とは、秋田県内の依頼のあった場所にGAOの生き物を連れて行く、移動水族館です。リクガメのえさやり体験やタッチプールなど老若男女問わず人気があります。そして、もう一つの担当、企画展示室は時期ごとに内容が変わり、展示する生物も変わります。現在はリクガメを中心にカメに関係のある生き物を展示しています。その中には昨年GAO近くで保護したアオウミガメもいて、夏の放流に向けて体力をつけさせています。また、生き物の飼育のみならず、生き物の本来の姿、その種の能力のすごさを解説で紹介しています。より多くの来館者に楽しく知ってもらえるような内容を心掛けています。
◇田口 清太朗(たぐち せいたろう) 入社13年 男鹿の海大水槽・ホッキョクグマ担当
私は男鹿市の水産高校を卒業し、海に関わる仕事がしたいと思い、この男鹿水族館で働いています。男鹿の海といえば冬に獲れるハタハタを筆頭に「北の冷たい海」というイメージをお持ちの人が多いのではないでしょうか。しかし、男鹿の海には海流の関係で多種多様な生き物が集まってきます。例えば夏から秋にかけては南の海域に棲息しているシイラやバショウカジキが男鹿近海まで回遊してきます。また、魚だけではなくウミガメやオットセイ、イルカ、クジラも実は男鹿の海にやって来ることがあります。水族館の展示を通じてさまざまな生物、そして男鹿の海の魅力を皆さんにお伝えしたいと思っています。
◇森野 はる香 入社2年目 海水魚担当
私は日本の海水魚コーナーを担当しています。各水槽には、それぞれテーマに沿った生き物を展示しており、たとえば「秋田の深海」水槽にはケガニやクサウオといった秋田の深海で見ることのできる生き物を展示しています。また時折、秋田県内の漁師さんから珍しい生き物をいただいて、展示することもあります。私も見たことがない生き物が水族館にやってきた時はとてもどきどきします。生き物たちは生息地、環境の違いなどによって体の色や形などさまざまな特徴があり、見比べてみるととても面白いです。そのように見比べていく中でお気に入りの生き物を見つけていただけたらとてもうれしく思います。秋田の海に生きる生き物たちの魅力いっぱいの展示にしていきたいと思っています。
◇白倉 慶大(しらくら けいた)入社2年目ペンギン担当
ペンギンは地球上に18種生息しており、南極大陸から、赤道直下のガラパゴス諸島までの南半球の幅広い範囲に生息している鳥の仲間です。
男鹿水族館では「ジェンツーペンギン」と「キタイワトビペンギン」という2種を飼育しています。
ジェンツーペンギンは、頭の上の白い帯状の模様が特徴で、この白い模様がジェンツーペンギンの名前の由来にもなっています。キタイワトビペンギンは、自然界では岩場に生息しており、岩を跳ぶペンギンということでイワトビペンギンと名づけられました。目の上の黄色い飾り羽が特徴です。
ペンギンは、鳥の仲間ですが空を飛ぶことができません。ですが水中を飛ぶように泳ぎます。ペンギンが泳いでいる姿は、たくさんの人を魅了します。男鹿水族館に来てくださった人たちにペンギンの魅力を余すことなく伝えられるよう頑張ります!
◇木下 まりん 入社5年目 アシカ・アザラシ担当
男鹿水族館ではカリフォルニアアシカ2頭とゴマフアザラシ5頭を飼育しています。どちらも鰭を持つ哺乳類である同じ鰭脚類(ききゃくるい)の仲間です。間違われやすいですが耳や鰭のおおきさなど、詳しく見てみると違いがたくさんあるです。また、個体によって性格も違います。えさの時間ではアシカを展示場の外に出し、お客様の手が届きそうなくらい近くでアシカを見てもらっています。アザラシはさまざまな動きをこなし、愛嬌たっぷりの可愛らしい姿を見ることができます。どちらも笑顔になってしまうこと間違いなしです。GAOに来た際にはぜひ、アシカとアザラシのえさの時間を見ていただきたいです。2種類を見比べてみてください。たくさん違いがあって、どちらも本当に魅力的な生き物です!これからも鰭脚類の魅力を伝えていきたいです。
◇高橋 深雪 入社13年目 展示・広報業務担当
生き物の展示業務に加えて広報業務も担当させていただいております。水族館には他種多様な生き物がいますが、日々異なる驚きや発見があります。生き物のちょっと変わった行動、特徴など、いろいろなことを各生物の担当者から教えてもらえます。この面白さを、水族館に来てくれるたくさんの人にもお伝えしたいと日々カメラを持って館内を歩いています。
生き物の誕生はとてもうれしい出来事で、周囲を明るくします。この喜びを体験できることはとても貴重なことで、より多くの人に知ってもらえたらと思います。誕生もあれば、水族館には生きている生き物がいる以上、死もあります。悲しいことですが、生も死も、その生き物の命として伝える役目を少しでも担うことができたらと思っています。
◇男鹿水族館GAO・本川博人館長
男鹿水族館GAOは、レクリエーション機能、生物の魅力を発信することに特に力を入れています。生物の魅力を発信することで、「好きになる」「興味、関心を持つ」につながると思います。それが結果として、環境問題を意識する動機になると考えています。 水族館は、たくさんの人に利用してもらってこそ社会に貢献できる施設です。日々忙しく働いているお父さんやお母さん。その余暇を家族と楽しく過ごせる水族館を目指しています。友人やカップルで、あるいは子育てを終えたご夫婦がふらりと訪れる。その中で少し何かを意識してもらえればと考えています。
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