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水族館 この小さな宇宙  男鹿半島GAO 日々異なる驚きや発見

(雪国TODAY2017年5月号/全文3160文字/写真19枚)
♪何億光年、輝く星にも寿命があると 教えてくれたのはあなたでした〜♪ 旭化成のCMソングとその映像が視聴者の心をつかんでいる。山口百恵のラストソング「さようならの向こう側」。歌は時代を映す。40年の時を経て歌の冒頭が温暖化の地球の行く末を暗示し、それが人の心に響いている。かけがえのない生き物を展示する男鹿水族館GAO。生き物に触れ、半島の大自然を歩きながら地球温暖化を考えるのも良いかもしれない。大型連休を前に飼育スタッフたちの生き物への愛情あふれるコメント。水族館は小宇宙。あなたは何を発見しますか。

 

 

 

今や2万種を超えた絶滅の危機にある野生生物。失われる熱帯の森や珊瑚の海。そして世界中を覆っている大規模な気候変動。秋田県もその例外ではない。身近な所で異常気象による異変が続いている。

今、地球はどうなってるの?自然や資源の破壊は、どれくらい進んでいるの?私たちの未来はどうなるの?

 

◇青山 晃大(あおやま あきひろ)入社6年目 サンゴ礁コーナー担当

主に熱帯魚のコーナーを担当しています。サンゴ大水槽では主にオーストラリア近海に生息する生物を展示しており、約30種類、300匹が水槽内を泳いでいます。中でもお勧めなのがフィドラーレイ。サカタザメの仲間で大きくなると1㍍を超えます。飼育している水族館は国内では少なく、飼育も難しいですが、いつか大きなフィドラーレイをたくさんの人に見てもらえたらと思っています。一番数が多いのがヨスジフエダイの仲間。50匹が群れをなして泳いでいる様子を見ることができます。青い4本の線が特徴です。他にも人気のカクレクマノミや、国内ではGAOでしか見ることができないとても珍しいイレズミアマダイもいます。また、サンゴも見ていただきたい。サンゴには褐虫藻(かっちゅうそう)という小さな植物の一種が共生している種類があり、光合成で得たエネルギーを供給してもらいながら生きている。

 

◇河邉 夕貴子(かわべ ゆきこ)入社4年目リクガメ・お出かけ水族館担当

担当企画展示室とお出かけ水族館です。お出かけ水族館とは、秋田県内の依頼のあった場所にGAOの生き物を連れて行く、移動水族館です。リクガメのえさやり体験やタッチプールなど老若男女問わず人気があります。そして、もう一つの担当、企画展示室は時期ごとに内容が変わり、展示する生物も変わります。現在はリクガメを中心にカメに関係のある生き物を展示しています。その中には昨年GAO近くで保護したアオウミガメもいて、夏の放流に向けて体力をつけさせています。また、生き物の飼育のみならず、生き物の本来の姿、その種の能力のすごさを解説で紹介しています。より多くの来館者に楽しく知ってもらえるような内容を心掛けています。

 

◇田口 清太朗(たぐち せいたろう) 入社13年 男鹿の海大水槽・ホッキョクグマ担当

私は男鹿市の水産高校を卒業し、海に関わる仕事がしたいと思い、この男鹿水族館で働いています。男鹿の海といえば冬に獲れるハタハタを筆頭に「北の冷たい海」というイメージをお持ちの人が多いのではないでしょうか。しかし、男鹿の海には海流の関係で多種多様な生き物が集まってきます。例えば夏から秋にかけては南の海域に棲息しているシイラやバショウカジキが男鹿近海まで回遊してきます。また、魚だけではなくウミガメやオットセイ、イルカ、クジラも実は男鹿の海にやって来ることがあります。水族館の展示を通じてさまざまな生物、そして男鹿の海の魅力を皆さんにお伝えしたいと思っています。

 

 

◇森野 はる香 入社2年目 海水魚担当

私は日本の海水魚コーナーを担当しています。各水槽には、それぞれテーマに沿った生き物を展示しており、たとえば「秋田の深海」水槽にはケガニやクサウオといった秋田の深海で見ることのできる生き物を展示しています。また時折、秋田県内の漁師さんから珍しい生き物をいただいて、展示することもあります。私も見たことがない生き物が水族館にやってきた時はとてもどきどきします。生き物たちは生息地、環境の違いなどによって体の色や形などさまざまな特徴があり、見比べてみるととても面白いです。そのように見比べていく中でお気に入りの生き物を見つけていただけたらとてもうれしく思います。秋田の海に生きる生き物たちの魅力いっぱいの展示にしていきたいと思っています。

 

◇白倉 慶大(しらくら けいた)入社2年目ペンギン担当

ペンギンは地球上に18種生息しており、南極大陸から、赤道直下のガラパゴス諸島までの南半球の幅広い範囲に生息している鳥の仲間です。

男鹿水族館では「ジェンツーペンギン」と「キタイワトビペンギン」という2種を飼育しています。

ジェンツーペンギンは、頭の上の白い帯状の模様が特徴で、この白い模様がジェンツーペンギンの名前の由来にもなっています。キタイワトビペンギンは、自然界では岩場に生息しており、岩を跳ぶペンギンということでイワトビペンギンと名づけられました。目の上の黄色い飾り羽が特徴です。

ペンギンは、鳥の仲間ですが空を飛ぶことができません。ですが水中を飛ぶように泳ぎます。ペンギンが泳いでいる姿は、たくさんの人を魅了します。男鹿水族館に来てくださった人たちにペンギンの魅力を余すことなく伝えられるよう頑張ります!

 

◇木下 まりん 入社5年目 アシカ・アザラシ担当

男鹿水族館ではカリフォルニアアシカ2頭とゴマフアザラシ5頭を飼育しています。どちらも鰭を持つ哺乳類である同じ鰭脚類(ききゃくるい)の仲間です。間違われやすいですが耳や鰭のおおきさなど、詳しく見てみると違いがたくさんあるです。また、個体によって性格も違います。えさの時間ではアシカを展示場の外に出し、お客様の手が届きそうなくらい近くでアシカを見てもらっています。アザラシはさまざまな動きをこなし、愛嬌たっぷりの可愛らしい姿を見ることができます。どちらも笑顔になってしまうこと間違いなしです。GAOに来た際にはぜひ、アシカとアザラシのえさの時間を見ていただきたいです。2種類を見比べてみてください。たくさん違いがあって、どちらも本当に魅力的な生き物です!これからも鰭脚類の魅力を伝えていきたいです。

 

 

 

◇高橋 深雪  入社13年目 展示・広報業務担当

生き物の展示業務に加えて広報業務も担当させていただいております。水族館には他種多様な生き物がいますが、日々異なる驚きや発見があります。生き物のちょっと変わった行動、特徴など、いろいろなことを各生物の担当者から教えてもらえます。この面白さを、水族館に来てくれるたくさんの人にもお伝えしたいと日々カメラを持って館内を歩いています。

生き物の誕生はとてもうれしい出来事で、周囲を明るくします。この喜びを体験できることはとても貴重なことで、より多くの人に知ってもらえたらと思います。誕生もあれば、水族館には生きている生き物がいる以上、死もあります。悲しいことですが、生も死も、その生き物の命として伝える役目を少しでも担うことができたらと思っています。

 

◇男鹿水族館GAO・本川博人館長

男鹿水族館GAOは、レクリエーション機能、生物の魅力を発信することに特に力を入れています。生物の魅力を発信することで、「好きになる」「興味、関心を持つ」につながると思います。それが結果として、環境問題を意識する動機になると考えています。 水族館は、たくさんの人に利用してもらってこそ社会に貢献できる施設です。日々忙しく働いているお父さんやお母さん。その余暇を家族と楽しく過ごせる水族館を目指しています。友人やカップルで、あるいは子育てを終えたご夫婦がふらりと訪れる。その中で少し何かを意識してもらえればと考えています。

 

秋田・角館さくら紀行 春の百花繚乱 サクラ終盤 連休持つか サクラ係長と料亭主人が気をもむ

(雪国TODAY2017年5月号/全文1300文字/写真4枚)

サクラの花びらが舞い落ちる早朝の路地に静けさが漂う。料亭の主人が木戸から腰をかがめて出て来た。これから日課のサクラを巡る散歩。ブログで主人の綴る「角館紀行」は4000回を超えた。一方、1年間にわたって丹精したサクラが見事に咲き誇り、仙北市文化財課の「桜係」は胸をなで下ろした。連休最終日まで花はもつか。角館のサクラが終盤を迎えた。

早朝の武家屋敷通り。日中の混雑を避けて訪れた花見客の姿も。シダレザクラが満開に(後藤悦朗さん提供)

仙北市桜係長の畠山豊加寿さん

商人の外町と武家屋敷の内町を分ける火除け(防火線)がかつてこの場所にあったことを示す標柱が立つ東勝楽丁番地と目と鼻の先にある仙北市文化財課の庁舎。桜係長の畠山豊加寿さんは「今年のサクラは見事。桜係になって9年目で一番。武家屋敷通りの圧倒的なサクラの回廊。一本一本個体差があるシダレザクラが特に良い。樹齢300年を超える古木が元気だ」と話し、この1年を振り返った。桜係は花が散った後が勝負だという。「花見客が去った後、桧木内川の堤防は、満開のサクラを楽しんだ人たちで堤防が踏み固められてしまう。これではサクラの根が呼吸できない。2㌔にわたるサクラ並木。土壌にドリルで細心の注意を払って穴を開けなくてはいけない。そして土を柔らかに揉んでいく。これが終わって6月になると野鳥の駆除。9月まで続く。サクラの花の実は野鳥の好物。駆除を怠れば満開のサクラはない。そして整枝作業地元の中学2年生、支援学校の生徒による施肥作業の準備もある。子どもたちは作業に関わることで、角館のサクラに誇りを持って古里から巣立っていく」。畠山さんは「サクラが散った後が、桜係の本当の出番」と話した。

 

仙北市桜係長の畠山豊加寿さん

田町武家屋敷通りと接する上丁の料亭稲穂の主人で、角館町観光協会の副理事長を務める後藤悦朗さんのブログ「角館紀行」が4000回を超えた。

 

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潮風に吹かれて 象潟漁港編 春告げる魚 浜に活気 新造船や女性船主も誕生

(雪国TODAY2017年5月号/全文2000文字/写真9枚)

春を告げる魚種がずらり並んだ象潟漁港のせり場内

残雪の鳥海山に抱かれた由利沿岸の海から水揚げされた魚がキラキラ輝いている。漁船から春を告げる魚がせり場に運び込まれると、待ちかねた仲買人が「おー」とどよめいた。象潟漁港12年ぶりの新造船が漁を終え、岸壁に船体を休ませている。「漁師社会に女の視点を」と今春から船主となった女性は、底引き船の帰港を待ちわびていた。ヒラメ漁の解禁とともに象潟漁港は一気に春漁本番を迎えた。

 

新造船の船長・渡邊貞之さん

この春、象潟漁港にさわやかな潮風が吹いている。午前4時に出航した新造船第8天惣丸(4・9㌧)。ヒラメ、サクラマス、カレイ、ミズダコ、ズワイガニ、アカエビを満載して帰港した。船倉からは冬の魚アンコウも続々と。「大漁です。良かった」と船長の渡邊貞之さん。36歳。会社勤めから転身して漁師となって9年.新造船購入額は3600万円。家は代々漁師。「年明けになって断した。新しい船は漁師として生き抜く決意」と渡邊さん。仁賀保沖で刺し網の一投目を投入、それから金浦沖、最後に象潟沖に。次々と春を告げるヒラメ、サクラマス、メバル、イシモチが網に掛かって来た。ずっしり重い。手応え十分だった。「帰港の途中に快晴の空に浮かぶ鳥海山を見ながら、船を新造して正解だった」と改めて確信した。

 

 

 

女性船主の森ちえみさん

 

底引き網漁船・海宝丸17㌧の帰港を待つ森ちえみさん。46歳の船主だ。「漁師は男社会。でも女の船主がいても良いと思った。昨年、父が亡くなって私が船主に。漁師の夫は船長。経営は私に任せてほしい。女性の視点で従来の網元とは違う経営をしてみたい。私の方針に従った魚種を夫に求めている」

帰港した海宝丸の船倉から箱詰めにした魚がせり場に運び込まれた。多彩な魚種だ。ミズダコ、イイダコ、メバル、ガザミもいる。「もっと近海ものが混ざっていれば良かった。でも、まずまずの漁。明日に期待」と森さん。

漁師の後藤一雄さんは「新造船や女船主の誕生。象潟漁港に久しぶりに新風が吹いている。漁師の高齢化は深刻だが、若い漁師も育ってきた。漁師という職業の魅力を伝えていきたい」と目を細めた。

象潟漁港の本所がある金浦町の秋田県漁業協同組合南部総括支所の板垣進一課長に、支所管轄の秋田市下浜から山形県境・小砂川の各漁港の漁の状況を伝える報告が刻々と入ってきた。1週間にわたって海がしけていた。この日は1週間ぶりの漁とせりが行われる。板垣課長は「サクラの開花に合わせるように海が穏やかになる。そうすれば春漁本番。多彩な魚種を消費者に提供できる」とホッとひと息ついた。

 

春漁本番と話す金浦漁港の板垣進一さん

そのころ、秋田市、大仙市、県外からの仲買人が象潟、金浦を目指してトラックを走らせていた。県内でいち早く春漁が始まる象潟漁港。春を告げる魚のせりも県内でトップを切る。せりは象潟が午後4時から。象潟終了後の午後5時半からが金浦のスタートだ。金浦には秋田市下浜、由利本荘市、仁賀保漁港所属の漁船が水揚げした魚が集まる。

午後、象潟漁港で慌ただしくせりの準備が始まった。登録している仲買人38人。

 

地元で鮮魚店を営む仲買人の秋田幸士さんがせり場に並べられたヒラメなどの魚に目を光らせた。「まずまずのサイズだな」。5~7㌔のヒラメに満足した様子。サクラマスの魚箱ならぶ一画にいる仲買人の人だかり。ケータイで連絡を取り合っている。「あのグループは県外公設市場の仲買人。新潟、石川県の市場と連絡を取り合っている。各地の相場を確認してせり値を付けていく。象潟のせり値は県外市場の値付けにも影響を与える。もちろん、東京・築地市場にも」と秋田さん。

 

 

金浦漁港の真ん前に事務所を構えるマルイチ水産の仲買人・佐々木智恵子さんも1週間ぶりのせりに駆けつけた。「まずは象潟の品物を見たい。もちろん良い品があれば買い。本命は象潟の後に始まる金浦のせり。きょうは大曲の料理屋さんからサクラマスの注文が入った。船が漁に出ていると分かった段階で取引先に連絡して注文を取る。春は魚種が多いし、仲買人の目利きの見せ所」と気を引き締め、「きょうはミズダコが素晴らしい」。この日のミズダコは雌が1㌔700円、雄400円。「吸盤が大きく不揃いなのが雄。吸盤が小さく規則正しく並んでいるのが雌。味はもちろん雌が良い。タコに関しては男尊女卑ならぬ女尊男卑。魚屋さんで選ぶ際には目利きを」と付け加えた。

データボックス 南部総括支所は秋田市下浜から仁賀保市小砂川までの漁港を管轄。本所を金浦漁港に置く。所属する漁船は約370隻。象潟漁港が90隻で最も多くせりが行われるのは象潟漁港と金浦漁港の2カ所。象潟漁港登録の仲買人は38人、金浦は30人。4、5月の水揚げ額が年間を通じて最も少なく約6000万円。底引き

網漁ハタハタ、サケ、ズワイガニ漁が本番を迎える9月以降は水揚げ額が1億5000万円前後に増える。岩ガキは小砂川6月解禁。7、8月に象潟、金浦などで盛期を迎える。