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北都銀行 ツートップの決断 経営資源集中で風の王国〜あきた舞妓〜アジアに地歩〜バイオマス発電

(雪国TODAY2017年4月号/全文6800文字/写真15枚)

秋田の将来は前途洋々。世界から注目される風力発電のメッカ、風の王国になる

――。役員室がある北都銀行7階の応接間。2人は多弁だった。痩身で柔和な表情の彼は、バブル崩壊の修羅場を経験し、都銀役員から地方銀行の頭取に。無骨なもう一人は心ならずも経営統合の屈辱を味わった。

地域経済活性へ北都銀行の果敢な挑戦が成果を出している。秋田県の地方創生を2人が牽引している。(敬称略)

 

※秋田県が世界有数、国内一の風力発電エリアになると確信した町田会長は2018年に逝去し、その翌年、斉藤頭取も第一線を退き会長に就いた。

都銀行が彼を迎えたことは幸運だったというべきか。町田睿(さとる)78歳。旧千畑町畑屋出身。秋田高校から東京大学法学部。卒業後に旧富士銀行(現みずほ銀行)へ。バブル崩壊の1995年に荘内銀行頭取に就任。2009年10月、北都銀との経営統合を主導してフィディアホールディングスを設立。北都銀行取締役会長に就任した。

風力発電で地方創生を目指した北都銀行の町田会長(2017年3月撮影)

 

7階会長室から見下ろす川反の飲食店街は活気を失っていた。「斉藤君、秋田の夜を代表する川反がこれではいけない。もっと地域と向き合おう。地域と共に繁栄する銀行を目指そう。経営資源の集中で資金力を増やしたい。機動力を発揮できる態勢を早急につくろう」

北都銀は青森、盛岡、山形、新潟の店舗を廃止。県外支店は酒田、仙台、東京の3支店となったことで身軽になった。

 

斉藤にとって地方創生は秋田再発見であり、森林や風力、農業などの豊富な資源活用のミッションととらえた。「自然、食と農、観光、文化――素晴らしい」。同行のイノベーション戦略に着手した。

 

経営資源の集中を決断をした斉藤頭取(2017年3月撮影)

経営資源の集中はライバル秋田銀行よりも2年先行しての海外駐在事務所の設置、風力発電のウェンティ・ジャパン、あきた食彩プロデュース設立へとつながっていく。

それにしても、と思う。町田の周囲に振りまく柔和な表情だ。半世紀を超えるバンカー生活の最終章で古里秋田に帰郷。秋田高校同窓会会長として「気概を持って人生を歩んでほしい」と後輩たちに呼びかけて、「残された人生は秋田に尽くす」と付け加えた。

 

多弁に風力発電を語った数日後、北都銀行は三菱商事などが秋田に設置する国内最大級の風力発電所事業に、みずほ銀行と共同主幹事で155億円の協調融資を実施したと発表した。

融資額は過去最大。これで風力発電の事業融資は11件目。

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