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秋田市民 休日に大移動 魚介求め道の駅へ  象潟のカニ皿盛り一番人気

(雪国TODAY2016年9月号/全文1400文字/写真6枚)

日の秋田市民の大移動が止まらない。新鮮な魚介を求めて国道7号を山形県との県境、由利沿岸へ。目指すは道の駅。市民の一番人気は、象潟・ねむの丘にある「にかほっと!」のカニ皿盛り。道の駅・岩城。由利沿岸の道の駅出発点だ。午前10時、道の駅に併設されている岩城活魚センターの食堂には男鹿半島から山形への帰路立ち寄った2人組のライダーが早朝水揚げされたタイの塩焼きに舌鼓を打っていた。

「プリプリと身が膨らみ、引き締まっている。おいしいな―」。この日午前5時に岩城沖合4㌔でセンターの所有する第15長福丸が水揚げした。そのまま魚体を神経締めにし、鮮度を保った自慢のタイ。長福丸船頭の金森己嗣さんは「冬から夏へ海が変化すると、魚にますます味がのっ、魚にますます味がのってくる」と話した。長福丸の刺し網は2本。合わせて長さ1200㍍。「この網に入った魚を提供している。ヒラメもビッグサイズ。ぜひ味わってほしい」と金森さん。

そのころ、さらに約40㌔南下した象潟「ねむの丘」の駐車場は既に満車状態になっていた。象潟名物の岩ガキは既に終了。しかし、その一角にある「にかほっと!」のカニ売り場には長い行列。「かにの店カネヨシ」の東海林由美代表は客      の対応に大忙しだ。「当店の紅ズワイガニは新潟県産。粟島と佐渡の沖合で、所有する第1宝昌丸が漁をしている。だから新鮮な紅ズワイを味わっていただける」。サイズ、形の良い皿盛り3000円が次々と売れていった。一体、1日に何杯売れるのだろうか。

 

1杯2000円の大型サイズも人気だ。東海林さんは「皿盛りがこんなに安いのは足が欠けたりしたもの。でも大きいし、味は抜群。家庭で召し上がるには申し分ない」と低価格の秘密を明かし、「初夏のカニはちょっとやせているが、これから身が膨らむ。秋田市民の皆さん、存分にカニを堪能して」と付け加えた。カニ漁は午後10時ごろに新潟の港を出航、翌日午前10時に帰港。直ちに陸送されて、 夕方からボイルされるという。

「にかほっと!」の大レストランでは、秋田市民で大盛況だ。「夏場は岩ガキを堪能した。これからはカニ。象潟まで来たかいがあった。大満足」と家族連れ。老いも若きも子どももカニをむさぼってる。その様子は圧巻だ。

「にかほっと!」は増え続ける客に対応するため、にかほ市が今春ープンさせた施設。ねむの丘支配人の永須康一さんは「休日は400台分ある駐車場がお昼前に満車となる。たいへんなにぎわいだ。岩ガキ、カニはもちろんだが、地元の農家の人たちの朝採り野菜も人気です。眼下に日本海を見下ろす眺望風呂もお勧め」と話す。

発足13年目を迎えた「朝採り野菜 竹の子の会」は、会員53人の「にかほっと!」最大規模の出荷団体。朝採りした野菜の出荷がルール。搬入は午前8時20分から9時まで。この間にキュウリやトマト、ホウレンソウなどの夏野菜が山積みされる。代表の森りえ子さんは「7月はモウソウダケの一種ガラタケが人気です。根元の直径約5㌢、長さ約40㌢。モウソウダケと違い灰汁抜きの必要がない。サクサクしてあっさりした味。美味しいよ」と話す。竹の子の会では、味噌の加工にも乗り出している会員もいる。森さんもそのひとり。「地元で生産した芳醇な味わいの大豆を味噌に生かしたい。鳥海山麓の肥沃な土で生産される大豆にはミネラルもたっぷり。私自身は今後、味噌造りが中心になる」。

こうした出荷者の動きに、ねむの丘は「毎週末にイベントを展開し、途切れることなく誘客できる態勢を目指す。にぎわいを創出して出荷者を支援したい」としている。

秋田市の女性2人組が気持ちよさそうに足湯につかってる。帰路も安全運転を。

 

遥かなるロイヤル・カルカッタ・ゴルフクラブ  秋田県の歯科医が邦人初のメジャー大会優勝か 80年前のインド 妻も親善競技会Vの常連

(雪国TODAY2016年9月号全文1660文字/写真5枚)

昭和初期、英国植民地下のインド。ロイヤル・カルカッタ・ゴルフクラブで全インド(オールインディアン)ゴルフ大会が行われていた。気鋭の若き日本人ゴルファーが英国人選手を震かんさせている。観客も固唾をのんで勝敗の行方を見守っていた―。

この秋田県人のプレイヤーこそが海外メジャー大会で、日本人として初めての優勝者だったのではないか。200年の歴史を刻むロイヤル・カルカッタ・ゴルフクラブ。レストランではプレーの後の食事を楽しむ邦人駐在員たちの笑い声が響いている。

80年前も当時の駐在員がプレーの後の食事を楽しんだことだろう。英国人ゴルファーを震え上がらせた男と妻の物語に想いをめぐらした。

物語の主人公は五城目町仲町で歯科医院を営んでいた渡辺時治、シゲ子夫妻。時治は80 代半ばを過ぎてなお元気にフェアウエーを闊歩。平成2年に鬼籍に入った。シゲ子はそれより2年前に亡くなっている。2人は亡くなる直前までゴルフを楽しんでいる。秋田県のゴルフ草創期を切り拓いた夫妻を知る人はほとんどいなくなった。

昭和初期のカルカッタを知る在留邦人は既にいない。昭和8年から13年まで三菱グループの駐在員としてカルカッタに赴任した東京都世田谷の根岸忠素さんは生前、渡辺夫妻は専属の英国人コーチを雇い、ゴルフの腕前をめきめきゴルフの腕前をめきめき上げた。日本の商社が主催する親善大会で夫妻ともに優勝を重ねていたという。夫妻は英王室の王宮だったビクトリアメモリーがあるマイダン公園で練習に明け暮れる日々を過ごす。時治は念願かない昭和11、12年と続

けて全インド大会に出場。いずれも初戦敗退に終わっている(当時はマッチプレー)。

2枚のセピア色の写真がある。

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肥沃な転作田でエダマメ日本一へ 農家に予想外の収入 秋田駅前の居酒屋 枝豆談議の夜は更けて

(雪国TODAY2016年9月号/全文2030文字/写真3枚)

客は生ビールをぐいっと呑み、お通しにとテーブルに出されたエダマメをせっかちに口に入れた。この動作を数回繰り返し、やっと落ち着いた。秋田駅前の居酒屋。地元産のエダマメが最盛期を迎えると客足が伸びる。ビールの友になくてはならないエダマメ。このエダマメ生産量、今年も秋田県が日本一になるのか。関係者は気をもんでいる。

県産エダマメが最盛期を迎え、エダマメ談義が弾む居酒屋

 

「やっとエダマメの地場産が盛期を迎えた。こうなるとビールのお代わりが5割増しになる。冷凍物では味がね、いまいちなんだな。外国産はちょっとね」と、店の亭主。駆けつけ一杯の客はネクタイを緩め、ビールとエダマメを追加注文した。少し赤らんだ顔は、地場産エダマメの味に満足気だ。

それにしてもこのところのエダマメがおいしい。かつて近所の農家から頂いてザルごと家族で食べたエダマメを「こんなに身が膨らみおいしかったかな?」と感じる人は少なくない。県内の本格的なエダマメ生産の始まりについて、県園芸振興課は「昭和40年代の減反政策で、県南部で本格栽培が始まった。50年代には稲作農家有志が生産部会をつくり、首都圏向けの出荷を開始。こうした動きが徐々に広がっていった。それ以前は農家が田んぼの畦に植えた程度。それを近所にお裾分けしていた」と話す。平成15年には品質向上と統一化を図るため、エダマメ産地連携チームがJA、県の呼び掛けで発足。同22年からはエダマメ販売戦略会議が生産量日本一を目指し、昨年、念願の日本一となった。ただ、これは日本一の群馬県が異常気象の被害を受けたという背景がある。

秋田市豊岩の農事組合法人・白華の郷。エダマメ生産量日本一を目指す

園芸振興課は「古くから県内で栽培されてきた在来の五葉豆は甘味が強く、風味が抜群」としている。県農業試験場はこうした在来品種の改良を重ね、たどり着いたエダマメが「あきた香り五葉」と「あきたさやか」だ。秋田の夏は、昼と夜の温度差が大きい。日中、光合成で得たエネルギーは、夜気温が下がると消耗が抑えられて糖分がどんどん蓄えられる。その結果、芳醇で濃厚なエダマメに仕上がる。「米の美味しい所は、土が肥沃で元気。当然、転作田で育ったエダマメも美味しい」と農業試験場。

秋田県のエダマメ作付面積は約970㌶。約1200戸の農家や農業生産法人が栽培しいる。出荷は7月下旬から10月中旬までで、90%以上が県外に。東京都中央卸売市場の7〜10月の秋田県産シェアは20・9%(昨年)にも及ぶ。横浜市場や名古屋、大阪市場にも出荷している。「エダマメは二日酔いを防ぎ、夏バテにも効くんだよ。まさにお酒の友」と前述の居酒屋の亭主。良質なたんぱく質を含み、ビタミンB1やビタミンCとともにアルコールの分解を促し、肝機能の働きを助けるエダマメ。加えて体内の糖質、脂質、たんぱく質などを分解してエネルギーに変える効果もある。栄養素以外にも脂肪やコレステロールを取り除くサポニンや血圧を適正にコントロールするイソフラボン、血中コレステロールを排泄し動脈硬化を予防するレシチンも含まれている。

美の国あきたネットは、エダマメの美味しい食べ方を紹介している。それによると、たっぷりのお湯で少量のエダマメを茹でることがポイント。1袋250㌘の場合、水は1・5㍑。7、8月のエダマメは塩60㌘(大さじ4杯)、9月以降は塩45㌘(大さじ3杯)で、茹で時間は4、5分。分量の塩を入れ沸騰したらエダマメを入れる。茹で終わったらザルに広げて冷やす。その後に好みに合わせて塩をまぶす。また、温かいうちに袋で密閉し冷蔵庫に置くと一層美味しくなるという。

園芸振興課は「農家が手間を掛けて作ったエダマメ。美味しく食べてほしい」と呼び掛ける。

惣平さんの直売所フル回転

ビールにエダマメは理にかなっていた。美味しく呑んで、食べて健康を目指すには、うってつけ。「ビールとエダマメ、お代わり」。店内に客の声が響いた。エダマメとともに秋田の居酒屋の夜が更けていく。

 

惣平さんの直売所が快進撃

菅原惣平さんの惣平さんの直売所フル回転エダマメが気をはいている。大仙市協和の国道13号から46号へと分かれる交差点の大曲方向に向かって数百㍍、左側に直売所がある。秋田市にも店舗を構えた。

こだわりのエダマメだ。「県が開発した品種に関係なく、美味しい品種を探し当て、全力で栽培する」と惣平さん。「少量多品種」を実践している。直売所では3〜5日刻みで新しい品種が登場する。「旬の味を心掛け、エダマメ作りを10年やってきた。これからだってこのスタイルは変わらない」。直売は23品種にも及んでいる。出荷は9割が自分の直売所、1割がJAで、道の駅などには出荷しない。1日に訪れる客は平日約80人。県外からも100ケース(200㌔)の注文がある。

「エダマメが経営の柱になるなんて思いもしなかった。大豆よりは金になるだろう」。惣平さんは、試しに家の前で、さりげなく直売を開始した。あっという間にお客さんが増えていった。直売所は今後、晩生種の「秘伝」「一人娘」「秋田香り五葉」「越後ハニー」「丹波黒」が中心となる。